歯科矯正に関するアンケート実態調査。2万人の回答から見える歯並びへの意識
株式会社Oh my teeth(本社:東京都新宿区、代表取締役:西野誠)は、18歳から59歳までの男女22,165名を対象に「歯列矯正に関する実態調査」を実施しました。
調査の結果、歯科矯正を検討もしくは経験済の人の割合は約3割に上りました。なかでも10~30代でその割合が高く、若い世代ほど歯並びへの意識が高いと考えられます。
歯並びの悩みでは「歯のガタつき(下側)」(41%)、「歯のガタつき(上側)」(39%)が上位を占めました。
また、矯正方法の選択に関しては、世代間で違いが見られました。30~60代で主流なのは、歯の表面にワイヤーを取り付ける「表側ワイヤー矯正」で、各世代で60%前後を占めています。
一方で、10・20代の若い世代では表側ワイヤー矯正は約50%程度にとどまり、約30%がマウスピース矯正を選択している傾向が見られました。
なお、本調査は2025年に向けて多様化する歯列矯正ニーズの実態を把握し、より良い矯正治療の提供に向けた示唆を得ることを目的に実施しています。
【調査結果の主なポイント】
10~20代の4割以上が矯正に前向き。30代でも3人に1人は矯正を検討もしくは経験している
最も多い歯並びの悩みは「歯のガタつき(下側)」(41%)。「歯のガタつき(上側)」(39%)も上位に
若年層ほど矯正意識が高い傾向(例 前歯のガタつきが気になる割合:10・20代38%→50代18%)
全世代で表側ワイヤー矯正が主流である一方、若い世代ではマウスピース矯正を選択する傾向が高くなっている
職・結婚などのライフイベントを控えた未婚層で、矯正への関心が特に高い結果に
■調査概要
対象:22,165名
調査方法: オンラインアンケート調査
地域:11都道府県(北海道,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,静岡県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県,福岡県)
年齢:18-59歳の男女
調査期間:2024年7月
矯正意向を聞いたところ、「矯正を検討している」または「矯正をすでにしている」と回答した割合は、29%という結果になりました。また、年代別では10代・20代で44.0%と最も高く、30代で34.7%、40代で26.2%、50代では17.5%と、年齢が上がるにつれて減少しています。
所見
若年層に歯並びの悩みが集中している背景には、SNSの普及や就職・婚活などにおける見た目への関心の高まりが影響していると考えられます。特に10・20代では、自撮りやビデオ通話の機会が増えたことで、自身の歯並びを意識する機会が格段に増加しています。
さらに、コロナ禍が一段落し、マスクを外す場面が増えたことも、歯並びへの関心を高める要因となっているでしょう。マスク着用緩和に伴い、歯並びの印象が与える社会的インパクトを意識し始めた若年層 が増えていると推察されます。
また、グローバル化の進展により、海外の美意識への接触機会も増加しています。特に欧米では歯並びの良さが社会的ステータスとして認識される傾向が強く、そうした価値観が若い世代を中心に浸透してきていることも、歯列矯正への関心を高める一因となっているでしょう。
若い世代にとって、歯列矯正は「治療」というよりも、自己投資やキャリア形成の一環として捉えられている傾向が見て取れます。
一方で、50代で悩みの割合が低い理由としては、すでに矯正治療を終えている可能性や、長年の生活の中で自身の歯並びを受容してきた可能性が考えられます。
歯並びの悩みで最も多く挙げられたのは「歯のガタつき」で、下側が41%、上側が39%と、約4割の回答者が歯のガタガタ(叢生・乱ぐい歯)に悩みを抱えていることがわかりました。
そのほかには、「前歯の出っ歯」(28%)や「前歯のねじれ」(24%)、「八重歯」(17%)、「受け口」(13%)が続く結果となりました。
所見
今回の結果で特徴的なのは、上下の歯のガタつきが上位を占めていることです。これは日本人特有の骨格的な特徴が背景にあると考えられます。日本人は顎が小さい傾向にあり、32本の歯が正常に並ぶスペースが十分にないことが多いのです。そのため、歯が密集して重なり合う「叢 生(そうせい)」や「乱ぐい歯」と呼ばれる状態になりやすく、見た目の問題だけでなく、歯磨きがしづらい、食べ物が詰まりやすいなど、口腔衛生の面でもリスクとなります。
さらに現代人は縄文時代から比べると顎が小さくなっているとされ、これは食生活の変化が一因とされています。やわらかい食事が中心となり、顎を動かす機会が減少したことで、世代を追うごとに顎が小さくなる傾向にあります。
参考:https://www.kahaku.go.jp/special/past/kao-ten/contents.html
年齢層による歯並びの悩みの違いを分析したところ、若い世代ほど歯並びに悩みを抱えている傾向が強いようです。たとえば、前歯の出っ歯に悩んでいる割合は、50代では18%なのに対して、10・20代では38%と最も高い割合を示しました。
⻭のガタつき(下側) | ⻭のガタつき(上側) | 前歯の出っ歯 | 前⻭のねじれ | すきっ⻭ | ⼋重⻭ | 受け⼝ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
10・20代 | 45% | 44% | 38% | 24% | 20% | 18% | 14% |
30代 | 44% | 41% | 32% | 26% | 21% | 18% | 13% |
40代 | 37% | 35% | 23% | 22% | 23% | 17% | 13% |
50代 | 36% | 34% | 18% | 25% | 28% | 15% | 10% |
「歯のガタつき」に関しては、10・20代で上側44%、下側45%と最も高く、年齢が上がるにつれて徐々に減少する傾向が見られました。
このデータからは、若年層ほど口腔内の様々な状態に敏感であり、特に他者の目に付きやすい前歯部分への関心が強いことが読み取れます。
ただし、「すきっ歯」の悩みが50代で28%と比較的高いことは、加齢による歯の移動や歯周病などの影響が表れている可能性を示唆しています。
歯列矯正の方法において、世代による傾向の違いもみてとれます。全年代を通じて表側ワイヤー矯正が60%前後と主流である一方、マウスピース矯正は世代によって選択率の差が見られます。
10・20代では32%がマウスピース矯正を選択しているのに対し、年代が上がるにつれてその割合は減少。30代で26%、40代と50代ではともに21%という結果となりました。また、40~50代ではセラミック矯正の割合が高いのも特徴です。
表側ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 | 裏側ワイヤー矯正 | セラミック矯正 | ハーフリンガル矯正 | 外科矯正 | |
---|---|---|---|---|---|---|
10・20代 | 56% | 32% | 7% | 2% | 2% | 2% |
30代 | 60% | 26% | 8% | 3% | 2% | 1% |
40代 | 64% | 21% | 7% | 5% | 2% | 1% |
50代 | 63% | 21% | 8% | 5% | 0% | 3% |
収入層による選択の違いも顕著です。年収200万円未満の層ではマウスピース矯正の選択率が33%と最も高い一方、年収1,500万円以上の層では裏側矯正が11%と、収入による矯正方法の選好に特徴的な差異が見られました。
表側ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 | 裏側ワイヤー矯正 | セラミック矯正 | ハーフリンガル矯正 | 外科矯正 | |
---|---|---|---|---|---|---|
200万未満 | 53% | 33% | 6% | 5% | 1% | 2% |
200万〜400万未満 | 58% | 30% | 6% | 3% | 2% | 1% |
400万〜600万未満 | 61% | 26% | 9% | 4% | 1% | 0% |
600万〜800万未満 | 62% | 24% | 7% | 4% | 1% | 1% |
800万〜1000万未満 | 66% | 19% | 9% | 2% | 2% | 2% |
1000万〜1200万未満 | 66% | 21% | 8% | 4% | 0% | 2% |
1,200万〜1,500万未満 | 58% | 26% | 10% | 2% | 3% | 2% |
1,500万以上 | 57% | 22% | 11% | 4% | 3% | 3% |
所見
若年層でマウスピース矯正の選択率が高い背景には、近年の多様な価格帯のマウスピース矯正ブランドの登場が大きく影響していると考えられます。テクノロジーの発達により従来より手の届きやすい価格帯で矯正ができるようになり、歯科矯正へのハードルが下がっていることが要因のひとつでしょう。若い世代ほど新しい治療方法への抵抗感が低く、かつ審美性を重視する傾向があるためマウスピース矯正が受け入れられていると考えられます。
また、年収200万円未満層でマウスピ ース矯正が33%と高い選択率を示している点については、この層に学生が含まれることが一因として考えられます。
年収1,500万円以上の層で、裏側矯正の選択率が11%とほかの世代より高くなっているのは注目すべき点です。裏側矯正は管理の手間が比較的少なく、見た目に配慮された矯正方法としての特徴が評価されていると考えられます。
全年代・全収入層において表側ワイヤー矯正が依然として50%以上の高いシェアを維持している点は、歴史のある矯正方法があること、取扱う矯正歯科・歯科クリニックが多いことなどが挙げられるでしょう。
結婚状況別に矯正への意向を分 析したところ、未婚層の33.2%が「矯正をしたい」または「矯正をすでにしている」と回答し、既婚層(24.7%)を8.5ポイント上回る結果となりました。この差は、就職活動や婚活といったライフイベントを控えた層において、歯並びへの投資意欲がより高いことを示唆しています。
歯科矯正への意識の高まり
歯のガタつきへの懸念が4割を超えている点、特に若年層で顕著な歯並びの悩みが見られる点などから、歯科矯正への意識の高まりがうかがえます。
若年層を含めて矯正の関心が高まっている背景には、マウスピース矯正の普及もあるでしょう。これまで歯科矯正といえば、銀色のワイヤーを歯列全体に装着する方法が一般的でしたが、マウスピース矯正では矯正装置がほとんどめだちません。
裏側矯正やハーフリンガル矯正も含め、選択肢が増えたことで従来は治療に踏み切れなかった方々にも歯列矯正の機会が広がっています。
どんな歯科矯正治療にもメリット・デメリットがある
ただし、どの方法を選ぶにしても万能な治療法はありません。たとえば、マウスピース矯正は審美性に優れ、着脱可能という利点がありますが、一方でその利点が治療の進捗に影響を与える可能性もあります。効果を得るためには1日20~22時間のマウスピースの装着が必要で、使用時間が守られない場合は、後戻りを起こしたり、シミュレーション通りに歯が動かないリスクがあります。
そのため、治療方法を選ぶ際は、症例の難易度や治療目的、ライフスタイルなどを総合的に考慮することが大切です。実際、今回の調査でも、若年層でマウスピース矯正が、高収入層で裏側矯正が選ばれているなど、それぞれのニーズに合わせた選択がなされています。
噛み合わせの改善も大切な目的の一つ
そしてなにより、歯列矯正は見た目の改善が注目されがちですが、同時に重要なのが「噛み合わせの改善」です。
正しい噛み合わせを獲得することで、結果として審美性の向上だけでなく、歯磨きがしやすくなることで虫歯や歯周病のリスクも軽減されます。さらに、将来的な咬合(こうごう)の悪化や顎関節症などの機能的な問題を予防することにもつながります。
患者さんそれぞれの状況に応じた治療方法を選択でき る時代になってきました。外見意識の高まりやグローバル化の進展を背景に、歯列矯正への関心は今後さらに高まっていくでしょう。歯並びでお悩みの方は、ご自身に合った治療法を見つけるため、まずは矯正歯科での相談を検討してみてはいかがでしょうか。
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■調査概要
対象:22,165名
調査方法: オンラインアンケート調査
地域:11都道府県(北海道,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,静岡県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県,福岡県)
年齢:18-59歳の男女
調査期間:2024年7月
■Oh my teeth導入クリニック