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歯科矯正
最終更新日:2024年12月19日

セラミック矯正とは?後悔しない?歯科矯正との違いや費用を解説

セラミック矯正とはtop

セラミック矯正とは、虫歯治療などで使われるセラミックを自分の歯に被せることで、歯並びや色を整える治療のことです。

補綴(ほてつ)治療とも呼ばれ、治療範囲によっては7日〜10日程度と短い期間で終わる場合があります。

しかし、「歯を削る必要がある」「寿命がある」など知らないと後悔するようなリスクもあるため、慎重に検討しなければなりません。そこで本記事では、セラミック矯正の特徴や費用、引き起こされるリスクなどを分かりやすく解説します。

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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。

目次

理想の歯並びを相談する

セラミック矯正とはどんな治療方法?

セラミック矯正とは

セラミック矯正とは、虫歯治療などで使われるセラミックで出来た被せ物を、削った歯に被せて整える矯正方法です。

セラミックの素材には、全てセラミックだけで作られていて天然歯のように見える「オールセラミック」と、人工ダイヤモンドのジルコニアを器として、セラミックを焼きつけて作られる「ジルコニアセラミック」の2種類があります。

セラミック矯正は歯を削って治療しなければならないものの、色・形・大きさなどを自由に決められ、治療内容によっては7日〜10日ぐらいで終わるのが特徴的です。

一方、比較としてあげられるワイヤー矯正・マウスピース矯正の場合は、すでにある歯をゆっくり動かして歯並びを整えるので2ヶ月〜1年、症例によっては3年に及ぶなど非常に時間がかかってしまいます。

セラミック矯正は短く終わる上に、表現の幅も広いため芸能人のような白い歯を手に入れたいと検討する人もいるでしょう。

しかし知らないことで後悔するようなリスクもあるため、次項でメリット・デメリットをご紹介します。

セラミック矯正のメリット

セラミック矯正メリット

セラミック矯正のメリットは、以下の通りです。

  • 歯の色や形・大きさが思い通りにできる

  • 短期間で歯並びが整えられる

  • 後戻りの心配がない

  • 金属アレルギーの心配がない

  • 治療中の痛みがほとんどない

  • 治療中の見た目が気にならない

歯の色や形・大きさが思い通りにできる

セラミック矯正は、歯並びを改善しながら歯の色や形、大きさを思い通りにできます。歯科矯正では歯並びだけ、ホワイトニングは歯の色だけになるため、一度で見た目を大きく変えられるのは、セラミック矯正の最大のメリットと言えるでしょう。

短期間で歯並びが整えられる

歯科矯正は一般的に1〜3年程度の長い期間がかかるのに対して、セラミック矯正は2〜3ヶ月程度で治療を終えられます。歯科矯正を受ける時間がない方や、早く歯並びを整えたい方にとってニーズがある治療と言えます。

金属アレルギーの心配がない

オールセラミックやジルコニアセラミックは金属を使用しないため、金属アレルギーの心配はありません。ただし、金属のフレームにセラミックを焼き付けた「メタルボンド」はアレルギーを引き起こす可能性がある金属を使用するため、金属アレルギーの方は注意が必要です。

治療中の痛みがほとんどない

歯科矯正は自分の歯を動かすため歯に力を加えるため、矯正中は痛みをともないやすいです。セラミック矯正は歯を削ったり神経の処置が必要になったりする際、痛みをともなうことはありますが、歯科矯正のような継続的な痛みはありません。

治療中の見た目が気にならない

歯科矯正は装置によって、見た目に影響を与えてしまうことがあります。セラミック矯正では治療中、仮歯を装着するため見た目を気にせず歯並びをきれいにできます。また、矯正装置を装着することによる違和感もありません。

保定装置を装着する必要がない

セラミック矯正は、歯科矯正と違って保定装置を使わないのがメリットです。保定装置とは、歯が元の位置に戻るのを防ぐ装置で「リテーナー」と呼ばれます。歯科矯正の治療が完了してから1〜2年は装着が必要ですが、セラミック矯正なら使う必要がありません。

セラミック矯正のデメリット

セラミック矯正デメリット

セラミック矯正のデメリットは、以下の通りです。

  • 歯を削らなければらない

  • 神経の治療や抜歯が必要になる可能性がある

  • 虫歯や歯周病になるリスクが高まる

  • 定期的なメンテナンスが必要

  • 歯の向きが変わるとトラブルになりやすい

歯を削らなければならない

被せ物を入れるためには、歯を削らなければなりません。そのため、虫歯でない健康な歯も削る必要があります。歯は削ることで、歯の寿命が短くなったり、知覚過敏になる可能性もあります。

神経の治療や抜歯が必要になる可能性もある

歯が生えている位置によって削る量が多くなるため、神経の治療や抜歯が必要になる可能性も。

歯の神経には、歯に栄養を届ける大切な役割があります。神経を取った歯は栄養が届かず、枯れ木と同じような状態になってもろくなります。

また、抜いてしまった歯は二度と生えることはありません。

虫歯や歯周病になるリスクが高まる

土台と被せ物の間には、少なからず段差や隙間ができます。その間に汚れが蓄積すると、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。

定期的なメンテナンスが必要

セラミック矯正は定期的なメンテナンスが必要になります。メンテナンスを怠ると、土台である自分の歯の健康が損なわれてしまう可能性があるからです。

もしセラミックが割れたり欠けたりした場合は作りなおして、費用も初回と同じようにかかります。歯科クリニックによっては保証制度を設けている場合もあるため、事前に確認が必要です。

歯の向きが変わるとトラブルになりやすい

セラミックを使って歯の向きを変えると、本来の歯の向き(歯軸)が変わってしまうため、トラブルになる可能性があります。審美性だけを考えて被せ物をつくるのではなく、かみ合わせや歯への負担も考慮しないと、歯の破損などが起こる場合もあるでしょう。

セラミック矯正の費用・値段目安

セラミック矯正費用目安

セラミック矯正の費用目安を紹介します。

セラミック矯正の費用目安は、前歯6本の形を整えた場合は30〜70万円程度です。オールセラミックやジルコニアセラミックなどの種類によって異なり、ジルコニアセラミックの方が高いです。

以下は歯科矯正の費用とセラミック矯正の費用を表にまとめたものです。あわせて参考にしてください。

全体矯正

部分矯正

表側矯正

60万~130万円

30万~60万円

裏側矯正

100万~170万円

40万~70万円

マウスピース矯正

60万~100万円

10万~40万円

セラミック矯正

30万~70万円

※セラミック矯正は歯科矯正治療ではなく、部分的に見た目を整えるのが一般的であるため、全体矯正の費用相場(目安)は記載していません。
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※上下前歯の部分矯正プランを120回払い(初回3,519円)で支払う場合の分割支払い金額。総額420,019円(税込)。

セラミック矯正の治療の流れ

セラミック矯正治療の流れ

セラミック矯正は一般的に以下の流れに沿って治療を行います。

セラミック治療の流れ
  • 初診・カウンセリング

  • 検査

  • 土台作り

  • 仮歯のセット

  • セラミッククラウンの型取り

  • セラミッククラウンのセット

  • 定期検診

①初診・カウンセリング

カウンセリングは、セラミック矯正とはどのような治療なのか、メリット・デメリット、目安の費用など詳しい説明が受けられます。

歯の悩みや不安に思っていることなど、ドクターまたはカウンセラーに相談します。自分が理想としている歯並びや歯の形など、ドクターと共有するために行われるので、自分の意見をしっかり伝えることが大切です。

②検査

虫歯・歯周病の検査、レントゲン撮影や歯型採り、お口の中の写真撮影など行います。歯周病になっている場合は、先に歯周病治療を行うのが一般的です。

③土台作り

セラミッククラウンを被せるための土台作りをします。土台作りは基本的に数回通院が必要です。歯が傾いたりねじれて生えていたりする場合は、歯の軸をそろえるため大きく削ることがあります。そのため、必要に応じて歯の神経を抜く処置を行ったり、抜歯したりすることもあります。

④仮歯のセット

セラミック矯正は治療中、「プロビジョナルレストレーション」という仮歯で過ごします。これは本物の歯に近い形をしているので、目立つことはありません。仮歯の段階でイメージ通りになっているか、噛み合わせに問題がないか確認します。

⑤セラミッククラウンの型取り

土台作りが完了し、仮歯の時点で問題が無ければ、セラミッククラウンの型取りを行います。

⑥セラミッククラウンのセット

1~2週間程度でセラミッククラウンが出来上がります。クリニックによって異なりますが、セラミッククラウンを仮止めして1週間程度過ごしてもらうこともあります。問題が無ければ、特殊な接着剤を用いてしっかりつけます。

⑦定期検診

セラミッククラウンを長持ちさせるためにも定期検診は重要です。定期検診ではクリーニング、噛み合わせの確認など行い、問題があれば適切に処置してもらえます。

セラミック矯正でなおせる歯並び

セラミック矯正で治せる歯

セラミック矯正でなおせる歯並びは、以下の通りです。

  • 出っ歯

  • 傾いている歯

  • ねじれた歯

  • すきっ歯

ただし、いずれも軽度な症例のみで、歯並びや噛み合わせ、骨格の状態によってセラミック矯正が不向きな場合もあります。無理になおそうとすると思うような結果にならず、最悪のケースでは歯の根っこが割れてしまうといったトラブルを引き起こしてしまうことも。

歯並びの状態によっては、歯科矯正で根本的に改善する方がいい場合もあります。

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セラミック矯正と歯科矯正との違いは?どっちがいい?

あなたはどっち

セラミック矯正と歯科矯正は「矯正」という言葉で表現されていますが、治療方法には大きな違いがあります。

ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの歯科矯正は、自分の歯を動かして歯並びと噛み合わせを整えます。一方、セラミック矯正は自分の歯を削って、セラミックの被せ物を入れて見た目を整える治療で、根本的な歯並びや噛み合わせの改善はできません。

また、公益社団法人日本矯正歯科学会では、歯科矯正について以下のような説明をしています。

矯正歯科治療って何?

悪い歯ならびや噛み合わせを、きちんと噛み合うようにして、きれいな歯ならびにする歯科治療です。しかし、きれいな歯ならびにするために、歯を削って「差し歯」にすることは、基本的にはありません。矯正装置を通じて、歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かして、歯ならびと噛み合わせを治していきます。

出典: 公益社団法人日本矯正歯科学会 矯正歯科治療について

またセラミック矯正か歯科矯正か、どっちがいいか迷ったときは、費用や治療期間を考慮して決めましょう。

セラミック矯正は10年ほどの寿命ですが、歯科矯正は自分の歯なので、より長持ちさせることができます。

セラミック矯正に向いている人

こんな人におすすめ

セラミック矯正のメリットとデメリットを踏まえて、向いている人は以下のような人です。

  • 芸能人のような白い歯に憧れている人

  • 歯の形を整えたい人

  • 短期間で見た目を整えたい人

  • 見た目を気にせずなおしたい人

芸能人のような白い歯に憧れている人

「芸能人のような白い歯になりたい」と考えたとき、真っ先に思い浮かぶのは歯のホワイトニングではないでしょうか。しかし、ホワイトニングのみでは芸能人のような白い歯を手に入れるのは難しい場合があります。

たとえば神経の治療を受けた歯や、テトラサイクリン歯(テトラサイクリン系抗生物質※により変色した歯)は歯科クリニックで受けるオフィスホワイトニングでも白くするのは難しいです。また徐々に白い歯にできる場合でも、芸能人レベルの白い歯を目指すには時間や費用がかかります。

その点、セラミック矯正は被せ物をすることで、時間をかけてホワイトニングをしなくても芸能人のような白い歯を手に入れられます。

*テトラサイクリン系抗生物質とは

かつて日本の風邪薬シロップに使われていたもの。歯の形成期(0〜12歳ごろ)に多量摂取すると、歯の色が灰色がかったように変色する副作用を持ちます。

歯の形・大きさにコンプレックスがある人

セラミック矯正は歯の形を自由に作成できます。たとえば以下のようなことも可能です。

  • 大きさが揃っていない歯を左右対称にする

  • 前歯の先端に丸みを持たせて可愛らしいイメージを表現する

  • 歯の先端をシャープにすることでりりしい印象を持たせたる

短期間で見た目を整えたい人

セラミック矯正は2~3ヶ月で治療が完了します。直近で結婚式など大事なイベントがある方や、忙しいスケジュールの方は完了期間を考慮しながら治療を受けられます。

見た目を気にせずなおしたい人

セラミック矯正中は矯正装置を使用しないことに加えて、「プロビジョナルレストレーション」と呼ばれる最終的な被せ物と同じ形態の仮歯を装着します。そのため、治療中の見た目が気になりません。

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セラミック矯正で使うセラミッククラウンの寿命を縮める原因

これはダメ

セラミッククラウンは審美性と強度がある素材ですが、以下の行為は寿命を縮めてしまう可能性があるので注意が必要です。

  • 歯ぎしり・食いしばりをしている

  • 硬いものを好んで食べる

  • 力強い歯磨き

歯ぎしり・食いしばりをしている

歯ぎしり・食いしばりをしている方は歯に強い力が加わり、セラミッククラウンが欠けたり割れたりすることがあります。

これらの癖は集中しているときや就寝中にしていることが多く、自分では気づきにくいです。そのため、周囲の人やクリニックで指摘されて知る方もいます。

就寝中の歯ぎしりから歯を守るナイトガードを装着したり、集中しているときに食いしばりをしないように意識することが必要になります。

硬いものを好んで食べる

硬いものをセラミックの歯で食べると、欠けたり割れたりすることがあります。前歯にセラミッククラウンを入れている方は、前歯で硬いものを噛みちぎる行為は避けましょう。

力強い歯磨きをしている

力強い歯磨きは、歯ぐきが下がる原因になります。歯ぐきが下がると、セラミックと土台の間に段差ができて汚れが溜まり、被せ物の下に虫歯ができる「2次カリエス」になる可能性があります。歯ブラシはやわらかい毛質で、やさしく小刻みに動かして磨くように心がけましょう。

セラミック矯正で起こり得るリスクは?何がやばい?

セラミック矯正はインターネットやSNSで「危険」「やばい」と言われることがあります。しかし、被せ物の治療は虫歯治療で行われる方法と変わりありません。

セラミック治療が危険と言われるのは、以下が懸念点になるためです。

  • 健康な歯を削る

  • 健康な歯の神経を抜くことがある

  • 歯の根っこを動かさず無理な角度で被せ物を入れることがある

残念ながら、歯は削れば削るほど寿命が短くなります。さらにセラミックを入れる角度によっては土台の歯に強い力が加わり、歯の根っこが割れてしまうリスクが。

このような理由から、セラミック矯正は危険と言われることがあります。

セラミック矯正を安全に受けるためのポイント4つ

信頼できるクリニックを探そう

セラミック矯正を安全に受けるためには、以下の点を重視して歯科クリニックを選んでみてください。

セラミック矯正のポイント
  • 多くの症例を扱っている

  • メリット・デメリットなどを丁寧に説明をしてくれる

  • 適切な治療方法を提案してくれる

  • 噛み合わせも考慮してくれる

①多くの症例を扱っている

セラミック矯正の症例を多く扱っているクリニックは、経験が豊富なドクターが対応してくれる可能性が高いです。トラブルが発生したときも適切に対処してくれる可能性があるので、安心して治療を任せられます。

②メリット・デメリットなどを丁寧に説明をしてくれる

セラミック矯正を受ける際は、メリット・デメリットをよく理解しておくことが重要です。なぜなら、健康な歯の神経を抜いたり抜歯したりすることがあり、理解していないとトラブルに発展する可能性があるからです。カウンセリングでは、メリットだけでなくデメリットも丁寧に説明してくれるクリニックを選びましょう。

③適切な治療方法を提案してくれる

歯並びを整える方法は、セラミック矯正以外にもワイヤー矯正やマウスピース矯正、ラミネートベニアなどさまざまあります。いずれも基本的には保険適用外なので、高額な費用がかかります。

安全かつ満足度の高い治療を受けるには、複数のクリニックでカウンセリングを受け、自分に合った適切な治療方法を提案してくれるクリニックを受診することをおすすめします。

④噛み合わせも考慮してくれる

見た目だけ整えても噛み合わせが悪ければ、食べ物がうまく噛めず日常生活に支障をきたすことがあります。また、セラミックや奥歯の寿命も著しく短くなったり、トラブルが絶えなかったりする可能性も考えられます。そのため、噛み合わせも考慮してくれるクリニックや、矯正治療と審美歯科の両方の知識があるクリニックに受診するのが望ましいです。

セラミック矯正のリスクを理解しながら検討しよう

セラミック矯正は芸能人のように白くきれいな歯並びが手に入り、治療期間も短いのが特徴です。ただし、健康な歯を削るため、セラミック矯正のリスクをよく理解してからはじめることが大切です。

また、セラミック矯正と歯科矯正の治療方法は全く違います。ご自身の歯並びがセラミック矯正に適しているかどうかは、ドクターの診察が必要です。

「失敗して後悔した」という状況を避けるためにも、歯科クリニック選びは慎重に行い、歯科矯正も視野に入れておくことをおすすめします。

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