フィックスリテーナーとは?後戻りを防ぐ固定式リテーナーの特徴・期間・外れたときの対応まで解説

フィックスリテーナーとは固定式リテーナーの一つであり、後戻りに対して高い効果を得られます。
しかし「外したい時に外せない」「歯磨きしにくい」といった特徴もあり、保定装置選びの際はメリット・デメリット双方をあらかじめ理解することが大切です。
本記事でフィックスリテーナーの利点や着脱式リテーナーとの違いを知り、自分に合った保定装置選びにつなげましょう。

目次
- フィックスリテーナーとは?
- 装置の特徴と仕組み
- 他のリテーナーとの違い(マウスピース型との比較)
- フィックスリテーナーが向いている人・向いていない人
- フィックスリテーナーが向いている人
- フィックスリテーナーが向いていない・注意が必要な人
- フィックスリテーナー(固定式リテーナー)のメリット
- つけ忘れがないから後戻りしにくい
- 審美性が高く目立ちにくい
- フィックスリテーナー(固定式リテーナー)のデメリット
- 歯磨きやフロスがしにくい
- 外れても気付き にくい
- 定期的なメンテナンスが必要
- フィックスリテーナーの使用期間目安!一生つけるって本当?
- フィックスリテーナーのケア方法
- 正しいブラッシングとフロスで汚れをためないようにする
- 食事やケア道具を見直してリスクを減らす
- 定期検診を受けてトラブルを未然に防ぐ
- フィックスリテーナーが外れた/外したいときは?
- 外れた場合の応急処置と歯科相談の流れ
- 他院で再装着できる?費用の目安も解説
- フィックスリテーナーを外したい場合はどうすればいい?
- フィックスリテーナーに関するよくある質問(FAQ)
- マウスピース型マウスピースの併用はできますか?
- マウスピース型リテーナーを20時間装着しているのとどちらが保定効果が高いですか?
- やや後戻りを感じているのですが、フィックスリテーナーで矯正完了直後の歯並びに戻すことはできますか?
- 自己管理能力に合わせてリテーナーを選ぼう

「フィックスリテーナー」とは、矯正治療後に並んだ歯並びを安定させるための固定式保定装置です。
「舌側弧線装置(犬歯間保定装置)」とも呼ばれ、前歯の裏側にワイヤーを接着することで、矯正後の後戻りを防ぎます。
矯正治療後は何もしないと歯が元の位置に戻ろうと動き、矯正治療できれいに並んだ歯が再び乱れてしまいます。これを「後戻り」といいます。
歯が動くのを防ぐためには、矯正治療後に保定装置をつける期間(保定期間)が必要です。
保定装置には何種類かあり、フィックスリテーナーはその中の一つです。
装置の特徴と仕組み
フィックスリテーナーは、細い金属ワイヤーを前歯の裏側に直接接着する構造になっています。ワイヤーの素材は主にステンレススチールなどが用いられ、丈夫で目立ちにくいのが特長です。
一度装着すると自分で取り外すことはできず、常に歯に固定された状態が続きます。そのため、毎日意識して装着する必要がない一方で、歯磨きやフロスなどの清掃に工夫が必要です。
また、経年劣化や強い力が加わることでワイヤーが外れる場合があるため、定期的なチェックやメンテナンスも欠かせません。
他のリテーナーとの違い(マウスピース型との比較)
保定装置には大きく「フィックスリテーナー(固定式)」と「マウスピースリテーナー(取り外し式)」の2種類があります。
項目 | フィックスリテーナー | マウスピースリテーナー |
---|---|---|
装着方法 | 歯の裏側にワイヤーを接着 | 自分で着脱する |
見た目 | 表から見えにくい | 透明で目立ちにくい |
装着時間 | 常時(24時間) | 20時間以上推奨 |
管理のしやすさ | 自己管理不要 | 管理が必要(つけ忘れやすい) |
清掃性 | フロスがしにくい | 外して歯磨き可能 |
適している人 | つけ忘れが心配な方 | 手入れをきちんとできる方 |
マウスピース型リテーナーは衛生的に保ちやすく、交換もしやすいですが、つけ忘れが原因で後戻りするリスクも。
一方、フィックスリテーナーは無意識でも守られる安心感がある分、装着後のケアや定期検診がより重要です。
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矯正治療後の保定方法にはさまざまな選択肢がありますが、フィックスリテーナーが特に適している人、逆に慎重に検討すべき人も存在します。
ここでは、フィックスリテーナーが向いているケースと、注意すべきポイントについて解説します。
フィックスリテーナーが向いている人
忙しく自己管理が苦手な方
前歯にねじれやすい歯列を持つ方
小児矯正後の成長期にある方
フィックスリテーナーは、取り外しの必要がないため、装着の手間やつけ忘れを心配せずに歯並びをキープできるのが大きなメリットです。毎日自己管理をするのが難しいと感じる方には特に適しているでしょう。
また、前歯は後戻りしやすい部位のため、常に安定した力を加えられる固定式が適しています。さらに、骨格が変化しやすい成長期にも有効です。
フィックスリテーナーが向いていない・注意が必要な人
フロスや歯間ブラシが苦手な方
歯ぎしり・食いしばりの癖が強い方
金属アレルギーの可能性がある方
定期検診に通うのが難しい方
フィックスリテーナーは、歯の裏側に常時ワイヤーが接着されているため、清掃がやや 難しいのがデメリットです。
歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを駆使した丁寧なケアができないと、虫歯・歯周病リスクが高まります。
また、歯ぎしりや強い食いしばり癖がある場合、ワイヤーに過度な負荷がかかり、脱落や破損のリスクがあるため注意が必要です。
金属アレルギーが心配な方や、定期検診に通うことが難しい方も、医師とよく相談のうえ選択することが重要です。

フィックスリテーナーには、後戻りを防ぐうえで他の保定装置にはない多くの利点があります。ここでは、代表的なメリットを詳しく紹介します。
つけ忘れがないから後戻りしにくい
フィックスリテーナーの最大のメリットは、リテーナーのつけ忘れによる後戻りリスクを大幅に減らせることです。
取り外し式のマウスピース型リテーナーは、患者自身が装着を忘れたり、装着時間が足りなかったりすると、矯正後の歯並びが徐々に元に戻ってしまうことがあります。
一方、フィックスリテーナーは取り外しができない固定式であるため、常に一定の力で歯列を支え続けられ、意識しなくても安定した保定効果が期待できます。
審美性が高く目立ちにくい

フィックスリテーナーは金属ワイヤーを使いますが、歯の裏側(舌側)に設置されるため、周囲に気づかれる心配は非常に少ないです。
装着する箇所も上下前歯の6〜8本程度のため、口を開けてもほとんど目立ちません。
「装置が見えるのが嫌」という方にも、審美的に安心して使える選択肢といえるでしょう。

固定式リテーナーには多くのメリットがある一方で、注意しなければならない点もいくつかあります。
ここでは、フィックスリテーナーを選ぶ際に知っておくべきデメリットと注意ポイントをご紹介し ます。
歯磨きやフロスがしにくい
フィックスリテーナーは歯の裏側にワイヤーを接着するため、歯ブラシやデンタルフロスが届きにくい点がデメリットとして挙げられます。
とはいえ、適切なケアができないと虫歯や歯周病のリスクが高まるため、リテーナー装着後はこれまで以上に丁寧なケアを続けることが重要です。
通常のフロスでは届きにくい箇所の清掃に適したスーパーフロスなどのアイテムを活用し、ワイヤー周辺の清掃を習慣づけましょう。
外れても気付きにくい
フィックスリテーナーは、裏側に設置されているため破損や脱離に気づきにくいことがあります。
「知らないうちにワイヤーが一部外れていた」「一部だけ剥がれて後戻りが始まっていた」というケースも少なくありません。
外れた状態で放置すると、矯正した歯が元の位置に戻ろうとするため、わずかな違和感やゆるみを感じたらすぐに歯科医に相談しましょう。
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定期的なメンテナンスが必要

フィックスリテーナーによる汚れの蓄積を防いだり、いつの間にか外れて後戻りしてしまうのを防いだりするには、クリニックで定期的にお口の中をチェックしてもらうことが大切です。
定期的な通院が面倒な人にとってはデメリットに感じるかもしれません。
ただし3ヶ月に1回程度クリーニングに通ったり、検診をしてもらったりすれば、虫歯や歯周病リスク を下げられます。またリテーナーが外れていても早めに対処でき、後戻りを予防できるでしょう。

フィックスリテーナーの使用期間は一般的に1〜3年程度です。
ただ、歯並びの状態によってはさらに長期間、場合によっては一生装着を続けた方がよいケースもあります。
特に前歯にすき間ができやすい方や舌癖がある方などは後戻りのリスクが高いため、リテーナーを長く使い続けたほうがよいでしょう。
矯正直後の歯はまだ動きやすいため、最低でも1年以上は固定が必要とされています。
実際に外すタイミングは、歯列の安定度や生活習慣を見ながら歯科医師が判断します。自己判断で外すと後戻りのリスクが高まるため注意しましょう。
なお、リテーナーを一生つける必要があるケースや、サボった場合の影響については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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フィックスリテーナーを長く清潔に保つためには、日々のケアが欠かせません。ここでは、ケアのポイントを具体的にご紹介します。
正 しいブラッシングとフロスで汚れをためないようにする
フィックスリテーナーの周囲は汚れがたまりやすいため、通常よりも丁寧なブラッシングとフロスケアが必要です。
歯とワイヤーの間には通常の歯ブラシだけでは届きにくいため、歯間ブラシやスーパーフロス(ワイヤー周囲専用のフロス)を活用しましょう。
食べかすやプラークを放置すると、虫歯や歯周病リスクが高まります。リテーナーを装着しているからこそ、普段以上に丁寧なケアを心がけることが重要です。
食事やケア道具を見直してリスクを減らす
硬いもの(ナッツ、フランスパンなど)や粘着しやすい食品(キャラメル、ガムなど)は、ワ イヤーの破損や脱落の原因になることがあります。リテーナー装着中はなるべく控えるようにしましょう。
また、歯ブラシも「ワイヤー周辺にしっかり届く小さめヘッド」のものを選び、デンタルフロスや歯間ブラシを併用するのがおすすめです。
定期検診を受けてトラブルを未然に防ぐ
フィックスリテーナーは、装着後も定期的なメンテナンスが必要です。半年〜1年に1回は必ず歯科医院でリテーナーの状態をチェックしてもらいましょう。
ワイヤーが緩んだり、接着部分が劣化していたりすると、目に見えないうちに後戻りが進んでしまうこともあります。早期発見・早期修理が、歯並びを守るポイントです。

フィックスリテーナーは固定式ですが、強い力が加わったり、経年劣化したりすることで外れてしまうこともあります。
また、「違和感がある」「生活スタイルに合わない」などの理由で、外したいと考える人も少なくありません。ここでは、それぞれの場合の対応方法を解説します。
外れた場合の応急処置と歯科相談の流れ
リテーナーが一 部でも外れた場合は、できるだけ早く矯正歯科に相談しましょう。応急的な対応は以下のとおりです。
ワイヤーが口の中で引っかかる場合は、歯科専用ワックスでカバーする
無理に引っ張ったり外したりしない
外れたまま放置すると、後戻りが進んでしまうリスクがあります。外れたことに気づいたらすぐ連絡し、診察の予約を取りましょう。多くの場合、再接着または必要に応じたリテーナーの作り直しが提案されます。
他院で再装着できる?費用の目安も解説
もし矯 正治療を受けたクリニックが遠方だったり、通院が難しい場合、別の歯科医院でも再装着をお願いできることがあります。
ただし、他院での対応は医院ごとに方針が異なり、新たな診察料や再接着費用、新リテーナー作製費などが別途かかる可能性があります。
費用感としては、再接着だけなら1〜3万円程度が相場ですが、ワイヤー作り直しの場合は数万円台〜になることもあります。
必ず事前に相談し、費用や対応方針を確認しておきましょう。
フィックスリテーナーを外したい場合はどうすればいい?
もしフィックスリテーナーに違和感がある、生活スタイルに合わないと感じた場合は 、マウスピース型リテーナーへの切り替えも検討できます。
マウスピース型のリテーナーには以下の特徴があり、「取り外せるリテーナーの方が続けやすそう」という方にぴったりです。
透明で目立ちにくい
自分で着脱できるため清掃しやすい
生活スタイルに合わせて柔軟に管理できる
なお、 Oh my teethでは、マウスピース型リテーナー(上下セット)を合計11,000円(税込)で提供 しています。矯正治療をOh my teethで受けていない方でも、リテーナーのみ作製することが可能です。
フィックスリテーナーの使用に不安がある方、今の装置が合わないと感じている方は、ぜひ一度Oh my teethにご相談ください。
