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最終更新日:2025年5月27日

ワイヤーを使った部分矯正とは?気になる費用や適応症例・期間を解説

表側矯正(ワイヤー矯正)

「ワイヤーを使った部分矯正はどんな歯並びに対応しているの?」「マウスピース矯正と何が違うの?」など、疑問を抱いていませんか??

今回は、吉祥寺矯正歯科クリニック の鈴木 美穂先生監修のもと、ワイヤーを使った部分矯正とはどのような治療なのか、全体矯正やマウスピース矯正との違い、目安費用や期間を紹介します。

メリットとデメリットも解説していますので、部分矯正を考えている方はぜひ参考にしてください。

鈴木 美穂
歯科医師

鈴木 美穂

日本歯科大学卒業後日本歯科大学附属病院にて研修に励み、日本歯科大学矯正学講座に入局し、日本矯正歯科学会認定医を取得。その後、医療法人社団矯栄会 六本木 広瀬矯正歯科にて経験を積む。日本大学大学院 歯学研究科の博士課程を修了し、博士号を取得。2020年に吉祥寺矯正歯科クリニックを開院する。日本矯正歯科学会東京矯正歯科学会顎変形症学会日本口蓋裂学会日本歯科保存学会日本接着歯学会など多数の学会に所属している。

ワイヤーを使った部分矯正とは?マウスピースの部分矯正と何が違う?

ワイヤー矯正をしている歯

ワイヤーを使った部分矯正とは、治したい2~6本程度の歯と周囲の歯だけに装置をつけて歯並びを整える矯正方法です。

ワイヤー矯正には、歯の表側に装置をつける「表側矯正」と、歯の裏側に装置をつける「裏側矯正」の2種類があり、どちらの方法でも部分矯正に対応可能です。

歯並びを改善する以外にも、以下のような目的で行われることもあります。

  • 歯周病予防

  • 補綴(ほてつ)治療

歯周病予防で行う矯正治療は、「歯周矯正」と呼ばれることがあります。歯並びや噛み合わせを整えることで、プラークがたまりにくい口腔環境を作り出すのが目的です。

補綴治療とは、詰め物や被せ物のこと。補綴治療の精度や予後を高めるために、事前に歯の位置を微調整するMTM(Minor Tooth Movement:小規模な歯の移動)として行われることがあります。

たとえば、歯が傾いているために被せ物を作りにくい場合、支台となる歯の位置を整えることで安定した補綴物を装着できるようになります。

部分矯正と全体矯正との違いは「噛み合わせの治療」を対象とするかどうか

全体矯正との違いは、噛み合わせを治せるかどうかです。全体矯正は、すべての歯にブラケットとワイヤーをつけて一本ずつ歯を動かし、歯並びだけでなく噛み合わせも整えられます。

一方、部分矯正は見た目の改善に焦点を当てており、噛み合わせの調整は行われません。

また、使用する装置の数が少ないため、歯を動かす際に生じる痛みや費用を抑えられます。動かせる範囲も限定されているため、治療期間が比較的短くなるのも特徴です。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いは「装置の見た目」や「適応範囲」

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の主な違いは、以下の通りです。

特徴

ワイヤー矯正

マウスピース矯正

装置の装着範囲

・治したい歯とその周囲の数本に限定して装置を装着

・部分矯正であっても歯列全体を覆うマウスピースを装着する

適応範囲の広さ

・歯を動かす力が比較的強く、様々な歯の動きに対応しやすい
・奥歯だけの矯正も可能

・主に前歯から数えて5番目までの歯の移動を対象とすることが多い
・奥歯のみの矯正は難しい

見た目

・表側矯正の場合、装置が見える(白いワイヤーや透明なブラケットで目立ちにくくすることも可能)
・裏側矯正は外からは見えない

・透明なため装着していても目立ちにくい

食事・歯磨き

・装置は固定式のため食事や歯磨きに慣れが必要

・取り外し可能なため食事や歯磨きは普段通り行える

ワイヤー矯正は、歯を動かす力が強く、細やかな調整も得意としているため、対応できる症例の範囲が広いのが特徴です。

一部の歯だけを効率的に動かしたい場合や、マウスピース矯正では難しいとされる歯の大きな移動にも対応しやすい傾向があります。

たとえば、上下の奥歯がハサミのように内外にすれ違い、うまく噛み合わない状態(シザーズバイト)といった奥歯を含む不正咬合の改善も目指せるでしょう。

一方、マウスピース矯正は、部分矯正を希望される場合でも歯列全体を覆うマウスピースの作製が必要です。

また、抜歯を必要とし、歯を大きく動かす症例は、ワイヤー矯正に比べて限界があることも認識しておく必要があります。

ワイヤー矯正による部分矯正の費用や期間はどのくらい?

治療を検討する上で、気になるのが「費用はどれくらいかかるの?」「治療期間はどのくらい?」といった点でしょう。以下でそれぞれ詳しく解説していきます。

ワイヤー矯正の目安費用は約30万~70万円

部分矯正の目安費用は30万~70万円程度。歯科医院によって費用は異なりますが、全体矯正に比べて安価です。

ただし、費用は使用するワイヤーやブラケットによって変動します。たとえば、裏側矯正や白いワイヤー・ブラケットなど、目立ちにくい方法を選択すると、費用が高くなる傾向にあります。

また、矯正する歯の本数が少ないほど費用は抑えられる傾向があります。逆に、治療範囲が広いと費用が加算されることも考慮しておきましょう。

部分矯正は手軽に始められる価格設定ですが、歯科医院によっては相談料・検査料・診断料が別途かかることがあります。(目安は5,500~66,000円)

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ワイヤー矯正の目安期間は約2ヶ月~1年

目安期間は、2ヶ月~1年程度です。部分矯正は歯を動かす範囲が限られているため、全体矯正(一般的に1年半~3年程度)に比べて短期間で完了します。ただし、治療期間も以下の要因で変わってきます。

  • 歯並びの状態や動かす歯の本数

  • どのようなゴールを目指すか

  • 患者さんの協力度

また、歯を動かす期間が終了した後は、歯並びを安定させるための「保定期間」が必要です。保定装置(リテーナー)を使用する期間も歯を動かす期間と同等にあることを理解しておきましょう。

ワイヤーを使った部分矯正で治せる歯並び

すきっ歯

部分矯正は、比較的軽度の症例に限定されているため、すべての方に適応するわけではありません。ここでは、ワイヤー矯正による部分矯正で治せる可能性が高い症例を3つ紹介します。

前歯に限定されているすきっ歯

すきっ歯とは、歯と歯の間に隙間が空いている状態のことです。前歯のすきっ歯は部分矯正で対応できます。ただし、奥歯まですきっ歯になっている場合は、噛み合わせを整える必要があるため、全体矯正が適しています。

軽度のガタガタの歯並び

前歯の1~3本のガタガタの歯並びは、部分矯正で治せる可能性があります。ただ、噛み合わせが大きくずれている場合は、全体矯正が必要です。

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矯正後の後戻り

矯正治療後の後戻りは、症状によって異なりますがワイヤーを使った部分矯正で対応できます。以前行った矯正治療よりも治療期間も比較的短くて済みます。

また、後戻りの状態によっては、マウスピース矯正で再治療が可能な場合もあります。

「ワイヤー装置の見た目が気になる」「取り外せる装置が良い」といったご希望をお持ちの方には、マウスピース矯正Oh my teethも選択肢の一つです。

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ワイヤーを使った部分矯正で治せない歯並び

悩む女性

以下の症例は歯を動かす範囲が広くなり、噛み合わせの改善も必要となるため、全体矯正が適しています。

重度のガタガタの歯並び

前歯のガタガタが3本以上ある症例では、歯が生えるスペースが不足していることが多いです。また、噛み合わせに問題が生じていることも多いため、抜歯をともなう全体矯正が必要になります。

出っ歯

前歯が大きく前方に出ている出っ歯は、部分矯正が適応外になることがあります。出っ歯の原因は主に3つあり、1つは上あごの過成長、もう1つは下あごの劣成長、そして歯の生え方によるものです。

歯の生え方によるもので軽度の症例は、部分矯正で対応できる可能性があります。しかし、あごの骨の問題による出っ歯は、前歯を大きく後方に移動させる必要があるため、全体矯正や外科矯正が適しています。

受け口

上下の噛み合わせが反対の受け口は、ワイヤーを使った部分矯正で治すのは難しいです。全体矯正が適応になることが多く、あごの骨の問題によって生じている受け口は外科矯正が必要になります。

開咬

開咬とは、奥歯で噛んでも上下の前歯が開いてしまう状態のことです。前歯だけの問題と捉えられがちですが、奥歯の高さが原因で生じます。

そのため、ワイヤーを使った部分矯正では対応が難しく、全体矯正が適応になります。また、原因の除去(後戻りの予防)としてMFT(口腔周囲筋訓練)も必要です。

ワイヤー矯正による部分矯正のメリット・デメリット

ここでは、ワイヤー部分矯正の主なメリットと、注意しておきたい点やデメリットについて解説します。

【メリット】費用を抑えやすく治療期間も比較的短い

部分矯正は使用する装置の数が少なくて済むため、費用を抑えられます。また、動かす範囲が狭いため、全体矯正と比べて痛みや違和感が少なく、比較的短期間で治療が完了します。

たとえば、前歯の少しの隙間や軽度の凹凸など、ピンポイントでの改善を希望される場合は、メリットを感じやすいでしょう。

【デメリット】噛み合わせの改善が難しく適応症例が限定されている

部分矯正は見た目の改善を目的としており、噛み合わせの改善はできません。さらに骨格に問題があるような重度の症例は、全体矯正や外科矯正が必要になります。

また、歯を並べるスペースが不足している場合は、研磨処置(※)が必要になるのがデメリットと言えるでしょう。

※ 研磨処置とは

歯と歯の間をヤスリで削る処置のことです。1ヶ所・1回あたり最大0.5mm程度削り、歯を並べるスペースを確保します。

「ディスキング」や「IPR」と呼ばれており、矯正治療では一般的に行われています。

なお、エナメル質の厚みは1〜1.5mmですが、個人差があるため歯や歯列の状態にあわせて削る量を調整しながら処置を行うのが一般的です。

ワイヤーを使った部分矯正のよくある質問

Q&A

ここでは、ワイヤーを使った部分矯正のよくある質問を紹介します。

全体矯正と部分矯正はどっちがいいの?

全体矯正と部分矯正どちらがいいかは、症例により異なります。全体矯正はすべての歯を動かせるため、軽度~重度の症例まで対応でき、満足のいく仕上がりになりやすいです。

一方、部分矯正は動かせる範囲が限定されているため、歯並びの状態によっては仕上がりへの妥協が必要になる可能性があります。

全体矯正と部分矯正で迷っている方は、まずは精密検査を受けましょう。

通院頻度はどのくらいですか?

ワイヤー矯正は、通常1ヶ月に1回歯を動かすために必要な処置を行う「通院日」が設けられています。

これは部分矯正であっても同様です。予定通りに治療を完了させるためにも、毎月欠かさずに通院しましょう。

リテーナーは必要ですか?

矯正後は歯が元の位置に戻ろうとする後戻りが起きやすいため、リテーナーの装着は必須です。

装着期間は、ワイヤーを装着していた期間が理想とされています。症例によって異なりますので、歯科医師の指示に従ってリテーナーを装着しましょう。

ワイヤーを使った部分矯正は負担の少ない矯正方法

ワイヤーを使った部分矯正は、「大切なイベントまでに歯並びを治したい」「目立つところだけ治したい」といったニーズに合った矯正方法です。

ただし、希望すればできる治療ではないことに加えて、噛み合わせの改善はできないという点を理解しておきましょう。

ご自身の歯並びの状態や治療の目的に合わせて、ワイヤー矯正による部分矯正が適しているのか、他の矯正方法も検討すべきか、歯科医師としっかりと相談することが大切です。

もし、目立たずに歯並びを整えたいのであれば、マウスピース型の装置を用いた矯正治療も検討してみてください。

マウスピース矯正 Oh my teethのリテーナー購入画面(LINE)

Oh my teethは、透明なマウスピースを使用するため目立ちにくく、オンラインでのサポートも活用しながら治療を進められます

費用体系が比較的わかりやすい点も、選択肢として考える際のポイントになるかもしれません。

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